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田尻智 ポケモンを創った男へのお便り

(太田出版 2004年3月12日発行 著者・宮晶太朗 田尻智)

 この本はA5判ゲーム雑誌「CONTINUE」で数回にわたって掲載された田尻智氏へのインタビューを単行本化したものです。単行本の特典として同人誌「ゲームフリーク創刊号」の全ページ再録や各種設定資料が掲載されています。

 まず最初に、ポケモンのヒット以降ほとんどメディアに露出しなかった田尻氏を誌面に連れ込んだ編集の仕事はとても意義深いことだと思います。ゲームフリークの成功物語を単なる偉人伝に終わらせないためにもこのインタビューは必要でした。ゲームフリーク&田尻氏の過去と現在をつなぐ線がここに現れた訳です。いろいろな方にお読みいただける本だと思いますが、80年代を生きたゲームファンには特にお勧めします。


 それでもっていろいろツッコミを入れさせていただきますが、宮晶太朗氏が書かれたと思われるコラムには視点がファミコン小僧過ぎます。特に21Pの以下の部分について。

●日本メーカーの手によるRPGであればパソコン用ソフトでいくつもの前例があった。確かにファミコンの非リアルタイムRPGとか、鳥山明が参加したとか限定すれば国産初ですが…

●スパルタンXは、少なくともアーケード版はアイレムの単独名義。任天堂は関係ない

●そもそも当時のゲーム界はアーケードとパソコンが先端を切り開き、家庭用機がそれらの大衆化を担っていた。そのあたりの協調関係を取り上げずに「ファミコンを中心にしながら〜洗練させてゆく」というのは乱暴過ぎる

その他

15P●ゼビウスの攻略同人誌はゲームフリークの制作ではない。個人二人の制作。途中から発行作業をGFが受け持ったという関係(だよね?)

15P●新風営法の施行は1985年

29P欄外●Qバートのメーカーはゴットリーブ。アタリではない。どこで検索したのか知らないけど、家庭用ソフトのDBをあたる前にアーケードのDBを使うべき。

111P●アイボットとまでは言わないが(私も見たことがない)、ポリゴンを語るなら「ウイニングラン」「リッジレーサー」「バーチャレーシング」を挙げる方が一般的なのでは

 このような細かいマニア知識がこの本の目的と関係ないのは分かってるんだけど、どうしてもインタビュアーの足腰の弱さを感じる。田尻氏の世代だとアーケードやPCが主流なので、ファミコン一本槍では踏み込めなかった部分もあったんじゃないのかなあ。その辺が残念です。

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