ゲーム博物誌 |
更新日:2000年01月08日
「第2のポケモン」は何かというのを考える時、モンスターが何種類出て、という見方じゃなく製品のバックグラウンドで見るというのも出来るんじゃないか。
という訳で挙げたいのが「カスタムロボ」。N64で去年12月に出たロボット対戦ゲーム(発売は任天堂)。と言ってもバーチャロンみたいな世界じゃなくて、どっちかというとミニ四駆をロボットに置き換えた、みたいな感覚。
これは見城こうじ氏が興した「ノイズ」という会社の第一作。見城こうじと言えばベーマガで10年ぐらい前にやってた「ビデオゲームグラフィティ(VGG)」やナムコの「ティンクルピット(1994年/アーケード)」で知られている、オールドゲーマーにはお馴染みのお方。
なぜこのソフトが第2のポケモンかというと、両者の生立ちに共通するものが多いからだ。
ゲームフリークは同人サークルから始まった事は有名だけど、見城こうじもまたゲームミニコミの黎明期に「BGM」という同人誌を発行していた。また、最初はナムコブランドで作品を発表し(注1)、その後任天堂ハードにソフトを供給する立場に移った事でも共通する。
つまりポケモンとカスタムロボ、どちらも80年代ゲームサークルの遺伝子を受け継いでいるのだ。
また彼らの作るゲームも、自分の遊び体験に対するこだわりの強さという点で似ている。クインティを見れば固定画面アクション全盛期を思い出させるし、ポケモンはメンコやカード交換と言った駄菓子屋周辺のB級子供文化への強い愛情がバックにある。見城がナムコ時代に作った「コズモギャング・ザ・ビデオ」や「ティンクルピット」は画面を一見しただけで「80年代のナムコ」を思い出さずにはいられない。
作り手としては、ポケモンの対抗馬、みたいな意識は無いと思うのだが偶然にも80年代ゲームサークル同士が作り手に回って勝負する恰好になった。不思議な因縁を感じる。
野次馬としてはこの二つの作品の存在はとても面白い。言って見ればナムコ黄金時代(1980年代後半)にまかれた種が今もゲーム界にしっかりと根付いている訳だ。まだカスタムロボは発売されたばかりなので「ポケと比べて云々」は出来ないけど、そういう分脈で語れる日が来るのを楽しみにしている。
【Root】
注1)GFはナムコへ持ち込み、見城は社員として開発という違いはある