ゲーム博物誌 |
更新日:2000年01月17日
ピンボールが時々「フリッパー」と呼ばれているのを聞いたことがありますか? 例えばゲームセンターでフリッパーコーナーとか書かれていたり、という事です。
歴史的に見ると、ピンボールという言葉のほうが先に出てきました。そしてフリッパーという言葉は70年代前後に出てきたようです。ピンボールという言葉はパチンコやスマートボールも含む広い範囲の言葉なんですが、これらはギャンブルマシンとして使われていました。ゲーム機業界は健全娯楽のイメージをアピールするために、ギャンブル臭の漂う「ピンボール」という言葉と決別する必要があったのです。
当時のピンボールマシンには必ず「PLAY SKILL GAME FOR FUN AND RECREATION」という文句が機械の隅に書かれてました。本機は技術を競う娯楽であって射幸心を煽るギャンブル機ではない、という意味が暗に込められています。
「ピンボール」とギャンブルマシンとの決定的な違いはゲーム性の有無です。このゲーム性の源はフリッパーの存在に尽きます。このはじき棒があるからプレイヤーはボールをコントロール出来、そこから様々なテクニックが生まれるのです。そういう訳で「フリッパータイプピンボール=フリッパー」と呼ばれるようになりました。
では、フリッパーと呼ぶのが正しいかというとそうでもないです。いわばゲームセンターをアミュズメントスペースと呼ぶようなもので、イメージ戦略の一環としての意味が強かったように思います。事実現在のメーカーは何の躊躇もなく「ピンボール」と読んでいます。現在のマシンにも前記のような文句は書かれていません。「ピンボール=フリッパーを使うゲーム」という図式は今では揺るぎないものになっています。
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